就労移行支援とは?支援内容や対象者、利用方法をわかりやすく解説
就労移行支援とは、就労のために必要なトレーニングを提供しているサービスです。近い将来、企業などで働きたいという希望に寄り添う、簡単に言えば、職業訓練校のように必要なスキルを身につける場所です。その他、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルなど、就労に必要となるスキル向上を目指すサービスを提供しています。
事業所により提供しているサービスは様々で、私たちのようにITに強い事業所もあれば、特に簿記やOffice全般の資格取得に強い事業所やITでもバックエンド開発に強い事業所、軽作業や清掃作業に強い事業所など、事業所により様々な特色があります。
そもそも就労移行支援は、2013年に施行された障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスの1つです。最近では、2022年に改正され、障がい者の希望やニーズに応じた支援の強化などが盛り込まれました。
では、具体的にどういったことを行っているのか、どんな人が利用できるのかなどを解説していきます。
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就労移行支援とは?よくわかる解説付き
「就職していたけれど、周りに馴染めずに離職を繰り返してしまう」
「業務の指示や内容を覚えられず、指摘される内容もよく分からないため繰り返し注意されていた」
このような経験はありませんか?今では大人の発達障がいという言葉も広まり、発達障がいへの理解も広まってきました。
また、精神障がいを患ってしまった方が、リワーク(休職者が復職すること)することも増え、リワーク支援を行う企業も多くなってきました。
就労移行支援は、このようなお悩みをお持ちの方に、自分に合った職場で安定して就労するための支援をするサービスです。技術を向上させるための訓練に加え、コミュニケーションスキルやビジネススキル、生活リズムの定着などの生活面でのサポートを提供します。それぞれの障がい特性に合ったサポートや指導が受けられます。
原則として24ヵ月(2年)利用することができます。地域によっては、さらに12ヵ月(1年)の延長が認められる場合があります。
利用料金は、前年度の世帯収入により決定され、生活保護受給世帯や市町村民非課税世帯は自己負担なしで利用が可能です。
どのようなサービスを提供していますか?
ここでは、一般的な就労移行支援を行っている事業所について説明いたします。
- 就労に向けたトレーニング
就労に向けて職業準備性を高めるトレーニングを行います。
就職ではなく、就労を目標としているところが就労移行支援の大きな特徴です。単に職に就くという意味の就職ではなく、就職後に働き続けられることを指す就労に向けたトレーニングを行っています。
就職に活かせるスキルはもちろん、長く働く上で必要となるビジネスマナーや体調管理の方法などもトレーニングします。
具体的な内容は事業所によって異なりますが、アサーションスキルを使った自他尊重型のコミュニケーションや、ストレスに多方面から対処するストレスコーピング、SST(ロールプレイ)を通じて社会生活スキルを身に付ける講義や実践練習があります。 - 就職活動のサポート
自分に合った職場を探すためのサポートをします。企業見学や職場体験を取り入れながら、応募書類の添削や面接練習なども行います。 - 職場定着の支援
就職したらおしまい、ではなく、安定して働き続けられるように、面談にて助言を行います。働く上でのお悩みやトラブルについて、本人と会社の仲立ちをすることもあります。
利用するための条件は?手帳はいるの?
- 18歳以上65歳未満である
- 一般企業へ就職したいと考えている
- 発達障がい、精神障がい、知的障がい、身体障がいなどの障がいがある
概ね、以上の条件に当てはまる方が利用できます。
また、発達障がい、精神障がいの場合は、障がい者手帳がなくても障がい福祉サービス受給者証を取得すれば利用可能です。
また、年齢も18歳未満の方も、特例で認められる場合もあります。
大まかな利用の流れが知りたい
- 見学・体験
まずは気になった事業所に問い合わせます。多くの事業所では相談や見学、体験を無料で実施しています。詳しい説明を受けたり事業所の雰囲気を感じたりして通うか否かを考えます。
ポイント
同じ就労移行支援でも事業所ごとに特色があるため、自分の求めるサービスを提供しているかどうかを見極めることが大事。確認するポイントとしては、自分の障がいに対するサポートがあるか、希望職種がある場合は、それに関する訓練内容があるか、通いやすい場所や雰囲気かなどがあります。支援員とうまく進められそうかという部分も、見学・体験のときにみるようにするとよいでしょう。 - 利用手続き
通う事業所を決めたら、福祉サービスを受けるために必要な障がい福祉サービス受給者証の発行手続きを行い、事業所と利用契約を交わします。
このとき、支援計画を相談支援事業所とともに作成します。
ポイント
精神科治療を受けている方は、自立支援医療受給者証が交付されると、ほとんどの場合、障がい福祉サービス受給者証を取得することが可能です。障がい者手帳の有無は必要ありません。
そのほか、医師による診断書でも取得が可能な場合があります。 - トレーニング
支援計画に沿って就労するためのトレーニングに取り組みます。興味のある分野のスキルに加えて、社会人に求められるコミュニケーションスキルやビジネススキルについても学びます。安定した就労を可能とするため、体調管理やメンタル面についても改善を目指します。 - 就職活動
支援員のサポートを受けながら就職活動を行います。自身の障がい特性をオープンにして就労を目指す(障がい者雇用枠)のか、クローズ就労(一般雇用)か、どちらを希望するかなどを話し合い、必要に応じて企業見学や職場体験を行います。履歴書の添削や面接練習も行っています。 - 職場定着支援
就職後も安定して働き続けるために定期的な面談を行います。面談の内容によっては、解決に向けたレクチャーなども行います。オープン就労の場合は事業所と就職先の連携によるサポートを受けることもできます。
弊事業所に寄せられるよくある質問
Q.本当に就職できますか?
今まで80%以上の方が就職しています。そのほかの事業所でも、就労に向けてプロの適切なサポートを受けることで、ひとりで活動するよりも就職に結びつく可能性が高いです。また、オープン就労を目指す場合は、様々な支援を行っている外部の組織と積極的に連携をはかっています。この連携により、企業見学や職場体験などが行いやすくなるとともに、広い選択肢の中から自分にあった企業へ就職できる可能性が高くなります。
Q.利用できる期間は?
原則24ヵ月(2年)となっています。ただし、市町村審査会の審査にて必要性が認められた場合、最大1年間の延長が可能となっています。ちなみに弊事業所では半年~1年ほどの期間利用して就職される方が多いです。
Q.働いたことがないのですが、利用できますか?
個人の経歴に合わせたトレーニングを進めていきます。社会人経験がない方でも安心して利用できます。弊事業所でも、働いたことのない方を就職に結びつけられた事例が数多くございます。
まとめ
このように就労移行支援では、就職するためのスキルを教えるだけではなく、就労する、つまり働き続けるためのサポートを行っています。また、障がい者手帳を持っていなくてもサービスを受けられる可能性があり、ある程度幅広い方が利用できる仕組みがあります。
しかし、仕組みがわかっても、事業所によってサポートの質や量、内容も様々なので悩みますよね。
弊事業所では福祉事業所との連携も図っているので、個人の希望に合った事業所を紹介することも可能です。もっと詳しく知りたい方も、悩まれている方も、いつでもご相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡いただけると幸いです。